「ただいまー!」
玄関を開けた瞬間、
ダダダッ!!
走ってくる。
ジャンプする。
吠える。
まとわりつく。
とにかく大興奮。
「帰ってくると、毎回すごいんです」
「嬉しくて興奮してるんだと思います」
「どうしたら落ち着かせられますか?」
これも、犬のしつけでよくご相談いただくお悩みです。
もちろん、
飼い主さんが帰ってきて嬉しい。
それは、きっとそう。
でも私は、
「嬉しいんですね」
だけでは終わらせません。
ここからが、
犬を見るところ。
そして、
その子に合ったトレーニングを考えるところです。
同じ「大興奮」でも、中身は違います
たとえば、
玄関の鍵を開ける音を聞いた時点で、もうソワソワしている犬。
飼い主さんの姿を見た瞬間に、一気にスイッチが入る犬。
飛びつくけれど、飼い主さんが落ち着けばすぐに戻れる犬。
帰宅したあとも、ずっと飼い主さんを追い続ける犬。
興奮がなかなか抜けず、しばらく家の中でも落ち着けない犬。
一見すると、全部、
「帰宅すると大興奮する犬」
です。
でも、
中身は全然違います。
だったら当然、
やることも変わります。
まず見るのは「いつから興奮しているか」
私は、いきなり
「飛びつかない練習をしましょう」
とはしません。
まず見ます。
どこから興奮が始まっているのか。
玄関のドアが開いた瞬間?
鍵の音?
飼い主さんの姿?
「ただいま」の声?
それとも、触ってもらった瞬間?
ここを見るだけでも、
その犬が何に反応しているのかが少しずつ見えてきます。
そして、もう一つ。
興奮したあと、どうなるのか。
すぐに切り替えられる?
なかなか落ち着けない?
飼い主さんをずっと追い続ける?
おやつは食べられる?
おもちゃには反応できる?
それとも、
もう何も入ってこないほど興奮している?
「興奮している」
という一言でも、
その状態は犬によって違います。
だから、
同じ方法を全員に当てはめることはしません。
そして、「帰宅時」だけを見ない
ここが、実は大事です。
帰宅した時だけ大興奮するように見えて、
普段から飼い主さんが立てばついてくる。
座れば寄ってくる。
家の中を移動すれば、ずっと後ろをついてくる。
ひとりで休む時間が少ない。
そんな生活だったら、
帰宅時だけ、
「はい、落ち着いてね」
と言われても、
犬からしたら、
「……急に?」
です。笑
だから私は、
帰宅時の行動だけを直そうとしません。
普段から、
ひとりで過ごす。
自分で休む。
何も起きていない時間を過ごす。
飼い主さんが動いても、そのままでいられる。
そんな経験も少しずつ育てていきます。
「落ち着いて」は、犬には分からない
人間でも、
「はい、今から落ち着いてください」
と言われて、
「はい、分かりました」
とすぐに落ち着けるわけではありません。笑
犬も同じです。
落ち着くためには、
安心できる環境がある。
十分に休める。
身体を使う。
頭を使う。
自分で選べる時間がある。
そして、
落ち着いていること自体を経験している。
こういう毎日の積み重ねがあります。
だから、
「興奮した犬をどうやって止めるか」
だけではなく、
「この犬は、普段から落ち着いて過ごせる生活になっているかな?」
ここまで見ます。
マットで待つことも、「我慢大会」ではありません
帰宅時のトレーニングで、
マットを使うことがあります。
玄関から少し離れた場所にマットを置く。
そこで過ごす。
飼い主さんが帰ってきても、少し待つ。
でも、
私はこれを
「マットから絶対に動かない!」
という我慢大会にしたいわけではありません。
大切なのは、
「飼い主さんが帰ってきても、自分で落ち着けた」
という経験。
最初は数秒でもいい。
マットに行く。
少し待つ。
落ち着く。
そして、
飼い主さんと関わる。
そんな小さな成功を積み重ねていきます。
「帰ってきた!」
↓
「大興奮!」
↓
「飛びつく!」
ではなく、
「帰ってきた」
↓
「ちょっと落ち着こう」
↓
「飼い主さんと関われる」
という別のストーリーを作っていく。
それも、
大切なトレーニングです。
ただ、「飛びつかない」だけを目標にしない
ここは、LIBLIVEが大切にしているところです。
飛びつかなくなった。
吠えなくなった。
マットで待てるようになった。
もちろん、それは嬉しい変化です。
でも、
行動が消えた=すべて解決
ではありません。
その犬が、
なぜ興奮していたのか。
何が苦手だったのか。
何を期待していたのか。
普段、どんなふうに過ごしているのか。
どんな環境なら落ち着けるのか。
そこまで見ないと、
また別の場面で違う行動として出てくることもあります。
だから私は、
問題行動そのものだけを消すことを目標にしません。
その行動が出ている背景まで含めて、
その犬を見ます。
犬の行動には、「二次的なもの」が重なっている
ひとつの行動の裏側には、
嬉しい。
寂しい。
不安。
期待。
緊張。
興奮。
経験。
環境。
身体の状態。
日々の生活。
飼い主さんとの関わり。
いろいろなものが重なっています。
だから、
「飛びつくから、飛びつかないようにする」
だけでは、
少し表面的なんです。
その奥にあるものを見て、
必要なら生活を変える。
環境を変える。
人の関わり方を変える。
具体的な行動を教える。
その子に必要なところから、一つずつ整えていく。
これが私の考えるドッグトレーニングです。
「犬を変える前に、まず犬を見る」
LIBLIVEでは、
犬を変える前に、まず犬を見る。
これを大切にしています。
帰宅すると大興奮する。
飛びつく。
吠える。
まとわりつく。
それだけを見ると、
「困った行動」
に見えるかもしれません。
でも、
その犬にとっては、
それが今できる精一杯の表現なのかもしれない。
だったら、
「やめなさい」
だけではなく、
「じゃあ、どうしたらこの子は落ち着けるんだろう?」
を考えてあげたい。
犬だけに頑張らせるのではなく、
人も少し変わる。
環境も少し変える。
そして、
犬自身が
「こうすれば大丈夫なんだ」
と学んでいく。
その積み重ねが、
犬の「落ち着ける力」につながっていくのだと思っています。
帰宅したら、ぜひ一度見てみてください
今日、家に帰ったら、
いつもより少しだけ観察してみてください。
鍵の音で反応した?
玄関を開けた瞬間?
姿を見た瞬間?
声をかけた瞬間?
触った瞬間?
そして、
そのあと何分くらいで落ち着いた?
「飛びついた」
だけではなく、
その前と、その後を見る。
それだけでも、
今まで気づかなかった愛犬のことが、
少し見えてくるかもしれません。
問題行動は、
犬を知るための入口になることがあります。
だから、
「困った行動が出た」
で終わらせない。
そこから、
その犬をもっと知る。
それが、
LIBLIVEの考えるトレーニングです。
次回は「来客で吠える犬」
インターホンが鳴った瞬間、
「ワンワンワン!!」
玄関に向かって走る。
お客様が入ってきても吠える。
「静かに!」
と言っても、止まらない。
これも、
「吠えないようにする」
だけでは終わりません。
なぜ、その人を見て吠えるのか。
怖い?
警戒している?
嬉しい?
興奮している?
それとも、
「誰か来た!」という出来事そのものに反応している?
次回は、
「来客で吠える犬」
を、犬の目線から見ていきます。
犬を変える前に、まず犬を見る。
ドッグトレーニングLIBLIVE
Chizuru
鎌倉・湘南を中心に、神奈川・東京への出張ドッグトレーニング、パピーレッスン、成犬の問題行動改善など、その子の個性と暮らしに合わせたトレーニングを行っています。
「うちの子、落ち着かないな」
「どうしてこんな行動をするんだろう」
そんな時は、行動だけを直そうとする前に、一度その背景を一緒に見てみませんか。
