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「コマンドは“ゴール”じゃない。“手段”としての理解を」
2025年6月11日「しつけ=コマンド練習」と考えている飼い主さんは、とても多いです。
特に、「オスワリ」「マテ」「フセ」「オイデ」などができると、「うちの子、ちゃんとできてる!」と安心される方も少なくありません。
でも、私はプロとして多くの犬と関わってきた中で、コマンドができる=犬との関係がうまくいっているとは限らないという場面に何度も出会ってきました。
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■コマンドは“道具”であって“目的”ではない
コマンドは、あくまで人が犬に意思を伝えるためのツール=言語のようなものです。
たとえば私たちも、「こんにちは」と言うのは相手と関係を築く手段であって、挨拶すること自体が目的ではありませんよね。
それと同じように、「オスワリ」も「フセ」も、その言葉を通じて“今どうしてほしいか”を伝えるためのものなのです。
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■“できる”のに落ち着かない犬たち
実際の現場ではこんなケースがよくあります。
🐾 例1:
「オスワリ」はできるけど、すぐに立ち上がってしまう犬。
一見、言うことを聞いているようでも、緊張や不安が強く、体がじっとしていられない状態なんです。
🐾 例2:
「フセ」をさせると固まって動かなくなる犬。
これは「言うことを聞かないと怒られる」と学んでしまい、**自分の意志を止めて“言われた通りにしているだけ”**のケースもあります。
こうした犬たちは、一見「しつけができているように見える」けれど、本質的な落ち着きや信頼関係がまだ育っていないことが多いのです。
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■コマンドの意味を“犬の立場”で考える
犬は、人間の言葉そのものを理解しているわけではなく、状況・トーン・表情・環境の全体から意味を汲み取っています。
たとえば、「マテ」と言われても、背景にある意図(たとえば「この場で安全にいてほしい」)が伝わっていないと、犬はただ我慢しているだけになります。
逆に、飼い主さんの態度が安定していて信頼されていれば、言葉がなくてもその場にとどまって待つことができる犬も多いです。
つまり、**コマンドは信頼関係をサポートするための“補助輪”**であって、本当の安定はその土台にある関係性から生まれるのです。
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■「使い方」を間違えなければ、コマンドは有効
ここまで読むと「コマンドって意味ないの?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
私が言いたいのは、「コマンドを目的化しないこと」です。
• “言うことを聞かせる”ためではなく、“伝え合うため”に使う
• “コマンドができたらOK”ではなく、“そのとき犬がどう感じていたか”に注目する
• “静止させる”のではなく、“自発的に落ち着ける”ための道筋にする
このような意識の転換が、犬との暮らしを大きく変えていきます。
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■まとめ:関係性が先、コマンドは後
私のトレーニング方針は、まず犬が安心できる環境と関係性をつくること。
その上で、日常をより安全に、スムーズにするための道具として、必要に応じてコマンドを取り入れていきます。
「コマンドができるかどうか」ではなく、
**「犬がその場でどう感じているか」「安心して自分で選べているか」**に目を向けてみてください。
これは、ドッグ・ライフ・カウンセラー Chizuru として、私がいつも大切にしている視点です。
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📝次回予告:Vol.2
「“落ち着けない”は犬のせい?環境と関係性を見直す視点」
犬が騒いだり吠えたりするのは「しつけ不足」だけじゃない。次回は、その背景にある環境要因や人との関わりについて掘り下げていきます。
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